DECIMATION~選別の贄~

安岡と波田が現場に駆けつけるとそこには人だかりができていた。

それもそのはずである。

遺体が発見されたのは市内でも有名な公園の真ん中だったのだから。

「ここからは立ち入り禁止です。お下がりください」

大きくバリケードが張られ、中のようすが見えないようにブルーシートが覆われていた。

そのバリケードを、作る警備の一人に波田はそう止められたが胸から警察手帳を取り出して見せる。

「警視庁捜査一課の波田だ」

「こ、これは失礼しました。どうぞお入りください」

ブルーシートを目くりあげて中に入る。

中には鑑識官や駆けつけた警官が遺体の周りで頭を悩ませていた。

わずかに遅れて安岡が入ってくる。

「また……ですね」

今回の被害者も胴体から首と手足が切り取られて、首は身体を見つめるように置かれていた。

そしてまたしても手は顔を覆い隠す様に置かれ、足は見つからなかった。


「また暴行された跡がありますね……」

「あぁ、いかれてやがる」

女性は公園の真ん中で無惨な状態で裸のまま棄てられていた。

身体中にアザが見られ、女性器から滲み出した血が痛々しい。

身体からはまたしても犯人のものと見られる体液が見つかる。

「犯人の目的は何なのでしょうか?」

あまりにも人道に反する行為に安岡の目は純粋な怒りに満ちていた。

それを見た波田が冷静に言う。

「お前はそうやって犯人に憤れる人間でいろよ」

「……え?」

波田はそう言ってどこかへ去っていった。

残された安岡は第一発見者や周囲への聞き込みに尽力するが、目ぼしい情報が入ってくることはなかった。


司法解剖の結果。

女性はやはり殺された後に首と手足を切断され暴行を受けていることが判明した。

そして、発見された体液をDNA鑑定した結果、第一の被害者から見つかった体液と第二の犠牲者から見つかった体液は一致しなかった。

安岡は鑑定の結果に落胆する。

「じゃあ、犯人は複数?

こんな残虐なことができる人間が何人もいるっていうのか!?」

メモをとる手が震えた。

そんな安岡を見つめている人物がいることも知らずに。






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