DECIMATION~選別の贄~
一週間ほどの音沙汰、捜査の進展もなかった朝方のことであった。
わずかばかりの青空を覗かせる曇りがかった空の元、第三の犠牲者が出てしまった。
発見された場所はまたしても公共の場であり、ボーリング場の駐車場に衣服を纏わぬバラバラ遺体として横たわっていた。
顔を覆い隠すように置かれた手は辱しめられた身体を隠しているようにも、涙をぬぐうようにも見えたという。
遺体の状況が残虐的かつ、これまでの死姦事件と同じ様に遺体の身体が辱しめられていとことからも警察は同一の犯人、ないしは犯人グループと断定した。
「…………え、うそ」
安岡は思わずそうこぼしていた。
「じゃあ、またしても犯人は別ということですか?」
遺体から発見された体液は先の二つの事件で発見された体液とDNAが一致しなかった。
「こんなクソみたいな人間が何人もいるっていうのか?
なんで、なんで平気で人を殺して、死体と行為に及ぶことができるっていうんだよ」
安岡はやりきれない感情を乗せた拳を思いきり地面に叩きつけるのだった。
地面に擦れた拳から血がじんわりと滲んでいく。
「…………とうとうこんな若い子まで犠牲になってしまって。
高校生だぜ?なんでだよ」
第三の犠牲者は市内の普通科高校に通うごく普通の女の子であった。
部活やサークルには属さずいつも街を遊び歩いていたようだ。
とはいえバイトは週二回のみ家の近くのスーパーでしていただけで、金銭面で頼ることのできる交遊関係があったのかもしれない。
それから身辺調査が進む中で、彼女が援助交際目的でインターネット掲示板に頻繁に書き込みをしており、遊ぶ為の金を自らの身体でもって手にしていたことが判明する。
第三の犯人は援助交際の相手で、彼女となにかしらのトラブルが起こった人物であると仮定して捜査を行うことが決定した。
「羽田警部、お呼びでしょうか?」
安岡は現場検証の後に波田からの連絡を受けて警察署の倉庫に来ていた。
波田は厳しい表情で切り出す。
「お前は今回の犯人が複数犯であると思うか?」