DECIMATION~選別の贄~

聴取を受けている男は中肉中背のサラリーマンで真面目そうな風貌に見えた。

質疑応答も一貫性もありはっきりと受け答えをしている。

「援助交際について認めているのに、なぜ今回の殺人についてはしらを切るつもりなんだ?被害者についていた体液とお前のDNAが一致しているんだぞ」

物証としてはこれ以上無いものだ。

「事件当日どこにいた?」

「私はドライブが趣味で県内を当てもなく走っていました」

「それを証明してくれる物や人物は?」

「誰とも会っていませんし、どこにも寄らなかったのでありませんね」

聴取を担当している刑事は頭を抱える。

「波田警部これは・・・」

「ああ、どうも腑に落ちないな。

恐らくあのおっさんが言ってる事は本当だろう」

「じゃあ・・・」

羽田はこれまでの事件の経緯をしっかりと思い返しながら、安岡の出した可能性にも考えを巡らせた。

そして彼の刑事としての勘が言うのだった。

「あのオッサンが援助交際で使用していたホテルを調べる。着いて来い」

「はい!」

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