満月の人魚
「瑠璃、頭が痛いのかい?顔色が真っ青だ。」

気付かれませんように、という願いも虚しく、零士は額に手を伸ばしてくる。

「少し熱があるね。今日は帰って早く休もう。薬を飲む事を忘れないで。家に着くまで少し眠るといい。」

(大丈夫だと言いたいけれど、頭が割れそうなくらい痛いわ。)

意識が微睡んでいく。眠りに落ちる直前、瑠璃は今朝見つめ合った挑戦的な瞳を思い出していた。

まるで自分の全てを見透かしては取り込んでしまうような、意思の強そうな瞳をーー。

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