満月の人魚

天野家

次の日の朝は窓から差し込む朝日の眩しさで目が覚めた。

昨日ぐっすり眠れたからか、快適な目覚めだ。
頭痛も治まっていた。

身支度を済ませて朝食を摂りにいくと、すでに零士と零士の父が食卓についていた。

「おはよう、瑠璃。体調はどうだい。」

「おはよう、兄さん、父さん。薬のおかげでぐっすり眠れたみたい。心配かけてごめんなさい。」

零士の母は瑠璃が天野家に引き取られる以前に他界してしまっていない。家にはお手伝いさんがいるので食事や身の回りのことは困る事がないが、

(この二人にあまり心配をかけたくはないわ。)

零士の母は白血病で亡くなったと聞いている。
亡くなる以前より体調を崩して寝込む事が多かったらしく、瑠璃が頭痛を訴えると二人とも殊更心配するのだ。
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