満月の人魚
プロローグ
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ」
真夜中の森を、少年は懸命に走っている。
後ろを振り返り、追っ手を確認しながら
守りたい者の手を必死に握り締める。
「瑠璃さま、もう少しです。頑張って下さい。」
自分より背丈の大きい少女を見上げると、
少女は疲労の滲んだ顔に、それでも力強く頷いた。
(この先何があっても、瑠璃さまは俺が守る)
少年は固く胸に誓うのだった。
それは遮る雲のかけらさえも見当たらない
とても澄んだ満月の夜の出来事ーー。
真夜中の森を、少年は懸命に走っている。
後ろを振り返り、追っ手を確認しながら
守りたい者の手を必死に握り締める。
「瑠璃さま、もう少しです。頑張って下さい。」
自分より背丈の大きい少女を見上げると、
少女は疲労の滲んだ顔に、それでも力強く頷いた。
(この先何があっても、瑠璃さまは俺が守る)
少年は固く胸に誓うのだった。
それは遮る雲のかけらさえも見当たらない
とても澄んだ満月の夜の出来事ーー。