満月の人魚
1

転入生

ーー 朝日が差し込む教室。

登校してくる生徒で賑わう始業前は、1人静かに席から校庭を眺めるのが好きだ。

こうして外を眺めている時間は、瑠璃に心の安寧をもたらしてくれる。
何事にも縛られない自由を得た心地にさせてくれる。

登校してきた生徒達は輪を作り、昨日の部活や何のテレビが面白かったなど、話に花を咲かせている。

同級生の輪には入らず、一人窓際の席で校庭を見る瑠璃を気にする者はおらず、また瑠璃も窓から入ってくる風に髪を揺らしながら、朝のお気に入りの時間を今日も一人堪能する。

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