満月の人魚
「一つ、教えてやるよ。」

顔を上げた黒沢がおもむろに口を開く。

「瑠璃に従兄妹はいない。」

「‼︎また、そんないい加減なこと…」

「いい加減なんかじゃない。真実だ。」

黒沢の顔は至って真剣で、見ていて怖いくらいだ。

瑠璃はだんだん腹が立ってきた。

(こんな事に付き合っていられないわ。ありもしない事を次々と…。)

黒沢の言動に振り回されてなるものかと瑠璃は踵を返した。

荷物を抱え歩き出そうとした時ーー
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