満月の人魚
「私、手なんて出してないわ。」

「出してるじゃない!昨日、美術の時間に二人が抱き合ってるところ見たわよ。お嬢様のふりして随分と手が早いのね。」

相手は濱田と彼女の取り巻き達だ。

「それに名前で呼ばれたりして何様のつもり⁈私や他の子がどんなにお願いしても呼んでくれやしないのに‼︎」

全くの言いがかりであるが、濱田は感情に任せて捲し立ててくる。

(話が通じる相手ではなさそうね。)

「そこでしばらく一人でいるのね。気が向いたら助けに来てあげるわ。」

瑠璃は女生徒達の遠ざかる足音を聞いている事しか出来なかった。

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