満月の人魚
(取り乱してもしょうがないわね。)

体育倉庫の鍵は外側に付いており、内側から開ける事は不可能だ。

幸い、今は昼休憩が終わったところだ。最悪あと2時間もすれば、帰ってこない瑠璃の異変に零士が気づいて探してくれるだろう。

瑠璃は近くにあった跳び箱の上に座ってひたすら時間が過ぎるのを待つ事にした。

他にする事もないとなると、何故自分がこんな目に遭わなければならないのかという気持ちが湧き上がってくる。

(今度会ったら黒沢君に文句の一つでも言いたい気分。)

しかし黒沢が悪いかと言われると、そうではない事も分かっている。




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