満月の人魚
「……今、なんて言ったの?俺達の…なに?」

「人魚だ。お前は人魚だ。」

瑠璃は一瞬丈瑠がおかしくなったかと思った。

「人魚って…下半身が鱗で覆われているあの人魚?」

「正しくは末裔だ。昔の姿は知らないが、お前は間違いなく人魚だ。」

「‼︎なぜ?私には足だってあるし、第一、私は…人間よ。」

瑠璃は力いっぱい否定したが、最後は消え入りそうな声になってしまう。丈瑠は真剣な顔で瑠璃の瞳を見ながら尚続ける。

「歌だ。人魚の歌には、人心を惑わせる力がある。こないだは瑠璃が無自覚だったから失神程度で済んだが、力をコントロール出来る様になれば人間を発狂させることだって出来る。」

瑠璃は音楽室での出来事を思い出す。
あの時、確かに瑠璃の歌声で先生やクラスメイト達は気を失っていた。

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