満月の人魚
「この男の子って……。」

「俺だ。こっちは俺の両親とじいちゃん。……この人を見てくれ。」

丈瑠は一番左端の女性を指差す。

その女性を見て瑠璃は愕然とした。

「これ……私?……どうゆうこと…?」

写真には確かに自分が写っていた。自分が、今と変わらない姿で幼い丈瑠と寄り添いながら写っていたのだ。

「この写真は7年前の物だ。…瑠璃、俺は生まれた時からお前と一緒にいるが、その間瑠璃の外見は全く変わっていない。」

写真を持つ手が震える。丈瑠の声がどこか遠くで聞こえるようだ。

「人魚はある一定の時間生きるとそこで成長が止まり、その若い姿で長い時間を生きるんだ。……自ら不老不死を与えた、〝永遠の伴侶〟と共に。」

「……永遠の…伴侶…」

いつか見た母の夢がなぜか思い出される。

〝だってあなたはーーなんだから〟







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