満月の人魚
その日は零士の18歳の誕生日であった。
普段は仕事で忙しい父も食卓に着き、三人で零士の誕生日を祝っていた時のことだ。
父があまり感情のこもらない声で告げる。
「零士ももう18歳だ。私の跡を継いで社長になるまではまだ時間があるが、身の周りの事はきちんとしておいた方がいい。」
「急にどうしたんだい?父さん。身の周りの事って?」
「私は、ゆくゆくは零士と瑠璃、お前達二人に会社を任せたいと思っている。そこでだ、二人は今日を機に婚約を結び、私を安心させて欲しい。」
「そんな‼」
瑠璃は驚きのあまり思わず叫んでいた。
そんな瑠璃を零士が窘める。
「瑠璃、まず落ち着いて。父さんも父さんだ。急にこんな話をしたら瑠璃が驚くのも無理はない。」
「急な話ではない。これは瑠璃がこの家にきた時から決めていたことだ。」
父が瑠璃を真っ直ぐに見据えて告げてくる。
「いいな、瑠璃。零士と婚約して、AMANOを守っていくんだ。AMANOの未来はお前達にかかっている。」
瑠璃の苦手な、その威圧感のある瞳で見つめられると、身がすくんで何も言えなくなってしまう。
普段は仕事で忙しい父も食卓に着き、三人で零士の誕生日を祝っていた時のことだ。
父があまり感情のこもらない声で告げる。
「零士ももう18歳だ。私の跡を継いで社長になるまではまだ時間があるが、身の周りの事はきちんとしておいた方がいい。」
「急にどうしたんだい?父さん。身の周りの事って?」
「私は、ゆくゆくは零士と瑠璃、お前達二人に会社を任せたいと思っている。そこでだ、二人は今日を機に婚約を結び、私を安心させて欲しい。」
「そんな‼」
瑠璃は驚きのあまり思わず叫んでいた。
そんな瑠璃を零士が窘める。
「瑠璃、まず落ち着いて。父さんも父さんだ。急にこんな話をしたら瑠璃が驚くのも無理はない。」
「急な話ではない。これは瑠璃がこの家にきた時から決めていたことだ。」
父が瑠璃を真っ直ぐに見据えて告げてくる。
「いいな、瑠璃。零士と婚約して、AMANOを守っていくんだ。AMANOの未来はお前達にかかっている。」
瑠璃の苦手な、その威圧感のある瞳で見つめられると、身がすくんで何も言えなくなってしまう。