満月の人魚
エピローグ
沈んでいた太陽が再び昇り始める頃、二人は駅のホームにいた。
人はまばらで、二人を気にする者はいない。
固く繋ぎあった手を隠すようにしてベンチに座りながら、電車の到着を待つ。
「N県で……私は歓迎してもらえるかしら?」
瑠璃は視線を足元に落としながら丈瑠に尋ねた。
以前見せて貰った写真のような笑い方も、過去の出来事も忘れてしまって、はたして自分は受け入れてもらえるのだろうか。
「瑠璃を連れて帰ると、実家にはもう連絡してある。心配はいらねぇよ。」
丈瑠は瑠璃を安心させるように、穏やかな声でそう告げた。
それでも晴れない表情を見せる瑠璃に、おどけてこう言ってみせる。
「じゃあ、〝俺の永遠の伴侶〟って紹介しようか。」
恥ずかしさでぱっと顔を上げた瑠璃に笑いながら、駅に流れるアナウンスを聞いていた。
これから、新しい生活が始まる。
今は白く霞む月がまた光り輝く夜を幾夜迎えても、二人は共に歩んでいくのだった。
《完》
人はまばらで、二人を気にする者はいない。
固く繋ぎあった手を隠すようにしてベンチに座りながら、電車の到着を待つ。
「N県で……私は歓迎してもらえるかしら?」
瑠璃は視線を足元に落としながら丈瑠に尋ねた。
以前見せて貰った写真のような笑い方も、過去の出来事も忘れてしまって、はたして自分は受け入れてもらえるのだろうか。
「瑠璃を連れて帰ると、実家にはもう連絡してある。心配はいらねぇよ。」
丈瑠は瑠璃を安心させるように、穏やかな声でそう告げた。
それでも晴れない表情を見せる瑠璃に、おどけてこう言ってみせる。
「じゃあ、〝俺の永遠の伴侶〟って紹介しようか。」
恥ずかしさでぱっと顔を上げた瑠璃に笑いながら、駅に流れるアナウンスを聞いていた。
これから、新しい生活が始まる。
今は白く霞む月がまた光り輝く夜を幾夜迎えても、二人は共に歩んでいくのだった。
《完》