ロリポップ
ワンピースもブラもやっと乾いたのはお昼を少し過ぎた頃。
ワンピースもブラも、恩田君はちゃんと手洗いしてくれたらしい・・・ほんと、迷惑かけ過ぎ・・・。
綺麗になったワンピースを着て、(ちゃんとブラもして)私は帰ることにした。
さすがに私がここにいたら、恩田君もせっかくの休日を心置きなく休めないだろうし。
「本当に、散々迷惑かけっぱなしで・・・ゴメンね。このお礼はまた、今度するから。ほんと、ゴメンね、ありがとう」
「いえ、気にしないで下さい。・・・お礼ついでにお願いしてもいいですか?」
玄関でブーツを履いた私より少し上にある顔が、躊躇いがちに問いかける。
「何?」
「あの・・・携帯の番号、教えてください」
思い切って聞きました!って感じで、彼のおっとりしたいつもの口調よりも少し早口なその言葉に、思わず笑ってしまう。
「あはは、番号聞くのにそんなに力いれなくても」
笑う私に、緊張したんですよ~といつものおっとり口調が帰ってくる。
お互いのスマホを赤外線でピッとしたら、情報交換終わり。
電話帳に恩田君の名前があるのがちょっと不思議な感じ。
「本当に逢沢さんの番号だ~」
と画面を見つめながら嬉しそうに笑う恩田君に、他の人に教えないでよ!!と釘をさして、彼のマンションを後にした。
下まで送るという彼の申し出を丁重に断って、私はエレベーターに乗り込んだ。
「また、明日、会社でね」
そう言って手を振る私に、恩田君は、はい、とにっこり微笑んで。
静かにドアが閉まって下がり始めるエレベーターの中で、私は小さく溜息をつく。
文哉は一度だって、私を見送ってくれる事なんてなかったなって。
思い出したくないのに、別れを受け入れたのに、思い出が色んなところに転がっていてふとしたときに顔を出して、気づきたくないことを確認させる。
頭と心は別なんだなって、思う。
求めてるわけじゃないのに、思い出す。
胸に残されたキスマークみたいに、いつかは消えてしまえばいのに。
ワンピースもブラも、恩田君はちゃんと手洗いしてくれたらしい・・・ほんと、迷惑かけ過ぎ・・・。
綺麗になったワンピースを着て、(ちゃんとブラもして)私は帰ることにした。
さすがに私がここにいたら、恩田君もせっかくの休日を心置きなく休めないだろうし。
「本当に、散々迷惑かけっぱなしで・・・ゴメンね。このお礼はまた、今度するから。ほんと、ゴメンね、ありがとう」
「いえ、気にしないで下さい。・・・お礼ついでにお願いしてもいいですか?」
玄関でブーツを履いた私より少し上にある顔が、躊躇いがちに問いかける。
「何?」
「あの・・・携帯の番号、教えてください」
思い切って聞きました!って感じで、彼のおっとりしたいつもの口調よりも少し早口なその言葉に、思わず笑ってしまう。
「あはは、番号聞くのにそんなに力いれなくても」
笑う私に、緊張したんですよ~といつものおっとり口調が帰ってくる。
お互いのスマホを赤外線でピッとしたら、情報交換終わり。
電話帳に恩田君の名前があるのがちょっと不思議な感じ。
「本当に逢沢さんの番号だ~」
と画面を見つめながら嬉しそうに笑う恩田君に、他の人に教えないでよ!!と釘をさして、彼のマンションを後にした。
下まで送るという彼の申し出を丁重に断って、私はエレベーターに乗り込んだ。
「また、明日、会社でね」
そう言って手を振る私に、恩田君は、はい、とにっこり微笑んで。
静かにドアが閉まって下がり始めるエレベーターの中で、私は小さく溜息をつく。
文哉は一度だって、私を見送ってくれる事なんてなかったなって。
思い出したくないのに、別れを受け入れたのに、思い出が色んなところに転がっていてふとしたときに顔を出して、気づきたくないことを確認させる。
頭と心は別なんだなって、思う。
求めてるわけじゃないのに、思い出す。
胸に残されたキスマークみたいに、いつかは消えてしまえばいのに。