紗和己さんといっしょ
「もうね。大袈裟でも例えでもなく、足の先から頭のてっぺんまでぜーんぶチュッチュッて」
「すごい。溺愛だ」
本当に。
何回肌を重ねようとも紗和己さんの溺愛はブレない。そうっと丁寧に。でもたまらなく熱く。
優しく髪を指ですきながら耳におでこに、後ろ髪を掻き分けながら首筋に。
ひとつひとつ慈しむように楽しむように、唇を旅させる。
指先だって手のひらだって。くすぐったがって身を捩る私の腰を大きな手で抱きすくめて。
彼の素肌の熱に捕らわれながら、くすぐったさは次第にいやでも疼きに変わっていく。
「…私、終わったあと絶対に体重減ってると思う。紗和己さんに幾らか食べられちゃってると思う」
それぐらい、彼の愛撫は満遍ない。
「スゴいね、それは。正真正銘の肉食獣だ」
満遍ないキスが足の先まで届く頃、私の身体はもう紗和己さんの色に塗り替えられてて。ただひたすらに次のキスが落とされるのを待つばかり。
なのに。
切ない色を浮かべて見つめる私を愛しげに瞳に映す紗和己さんは優しくて…ちょっと意地悪になる。