紗和己さんといっしょ
少し遅めの、朝。
紗和己さんの作った美味しい朝食をいただき、さすがに洗い物は自分で済ませる。今日もいつもと同じほっこり幸せ溢れる贅沢な朝。
そうしてそれが済むと、次に私がするのは、自分のメイクセットを持ってこのマンションで1番日当たりのいいリビングへの移動。
お泊まりの時は洗面所で済ませていたメイクだけど、私、本当は自然光の下でお化粧するのが好き。
午前中の優しい陽射しは肌を明るく、それでいて素直に見せてくれるから。
なので、毎日をここで暮らすようになった今では1番理想的な日当たりのリビングでメイクするようにしてるんだけど…
ただひとつ。問題が。
カコン、カコンとテーブルへ化粧水や乳液のビンを置いた音を聞き付けて、ダイニングで幾つもの新聞に目を通していた紗和己さんが嬉しそうにリビングへとやって来た。
そうしてニコニコしながらテーブルの脇へと腰をおろすと、それはそれは目をフニャリと細めて私を眺め出すのだ。
「…また見に来たの?紗和己さん」
「ダメですか?」
この同棲生活の困ったところ。それは。
私がメイクし始めると紗和己さんが見に来るコト。