紗和己さんといっしょ
最初は遠くからチラチラ見てるだけだったのに、今日はもうテーブルに頬杖ついて見ちゃってるよ。
しかもスゴく嬉しそう。
ニコニコ、ニコニコ。紗和己さん、幸せが顔から溢れてますよー。
「…ダメじゃないけど…あんまり見られたくないなあ」
コットンに含ませた化粧水をピタピタしながら答える。
いくらもうスッピンを知られてるとは言え、変身する瞬間はあまりに無防備だもの。
「そうなんですか?」
私の答えに紗和己さんが不思議そうな目を向ける。
「そりゃそうですよう。メイクの過程なんて普通はあんまり見られたくないってば。
むしろ私はどうして紗和己さんが見たがるのか、そっちの方が不思議」
丁寧に肌を保湿しながら目線だけ紗和己さんの方へ向けると、彼はキョトンとした表情で当たり前のように言った。
「えっ、だって可愛いじゃないですか」