紗和己さんといっしょ
あー。
なんかもう、朝から温度が上がる予感がする。
「可愛いって、メイクをしている姿が?」
「ええ。すごく素敵ですよ」
今度は私の方が不思議そうな表情を保湿の済んだ顔に乗せて聞く。
紗和己さんはニコニコの顔に戻ると再び両手で頬杖をつきながら話しだした。
「…なんて言うかな…
女の人って、もっと綺麗になりたくてお化粧するワケでしょう?その気持ちがね、僕はもうすっごく可愛いと思うんですよ。
ましてや、もしかしたらその気持ちの中に数%でも“好きな男(ひと)の為に”って云う想いが入ってたとしたら…恋人としてこんな嬉しい事ってないでしょう?」
……紗和己さん、スゴい。
まさかそんな視点で見てたなんて。私には思いもよらなかった。
「だから僕、女性がダイエット頑張ってたり服を買ったりする姿も好きですよ。
もちろん有りの儘の姿も素敵なんだけど、綺麗になりたいって思うその気持ちがね。女性特有のものだなあって思って」
そんな考え方する紗和己さんの方が100倍乙女ちっくだと思うの。
うーん。分かるような分からないような。
私が紗和己さんがネクタイを絞める姿に見惚れるのと一緒かなあ。仕事への向上心が滲み出てるとか?
…やっぱちょっと違うな。