紗和己さんといっしょ





同棲。



それは甘くてホカホカでドキドキで

そしてかなり

困らないでもない、毎日。








「…紗和己さんて、私がネイル塗ってる姿も見るの好きだよね」


「もちろん。だって」


「あ、いいです。言わなくていいから」



毎日毎日。何をしたって送られてくる甘い視線は、確実に私の心拍数を上げている。


例え私がお腹を出してよだれ垂らして昼寝してたとしても、紗和己さんは嬉しそうにそれを眺めるんだろうな。



ふたりで住むマンションは、甘い甘い空気に満ちていてまるでシュガーポット。



紗和己さん。私、甘くて幸せなお砂糖に埋もれて溺れ死んじゃうかもよ?




「ほら、紗和己さん。そろそろ打ち合わせ行かなくちゃ遅れちゃうよ?」


促した私に紗和己さんは

「そうですね。そろそろ行ってきます」

と素直に言って立ち上がると

ピーチピンクのマニキュアが乾いたばかりの私の指先にチュッチュッとキスをして

最後にとびっきり愛しさを籠めたキスを唇に落とした。



「いってきます」


「…いってらっしゃい…」



困ってしまうほど甘くてホッカホカな同棲生活。まだ1週間。


私の心臓が馴れるのが先か止まるのが先か。


困ったもんだと、五月晴れをバックにユラユラ窓辺で光るサンキャッチャーを赤い顔で眺めた。







゜゚・*:.。.おわり .。.:*・゜゚




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