砂漠の舟―狂王の花嫁―(番外編)
「誰がそんな偽りをおまえの耳に入れたのだ!」


怒りのあまりつい、声を荒らげてしまう。


「いえ……噂なのです。侍女たちをお責めにはならないでください」


リーンは慌てて付け足した。


この奥ゆかしさに心が惹かれるのだが、リーンにだけ任せておいてはつけ上がる侍女も出てくる。

サクルはリーンに気づかれぬよう、噂好きの侍女たちを正妃付から外すことを考えていた。


「待て、リーン。では、おまえも私に抱かれることを望んでいたのか?」

「八日前にお医師の先生から、あの……お許しをいただいております。ですから、あの……あ」


リーンのうっすらと染まる頬に、サクルはたちまち欲情した。

夜着の胸元をはだけ、柔らかな、それでいて以前より五割は豊かになった胸の谷間に顔を埋める。甘い香りに包まれ、彼は思わず頬ずりしていた。


「サ、サクルさま?」

「きつく揉んだら痛むだろう? おまえは乳母の乳を頼らず、ふたりに飲ませていると聞く。ここはしばらく子供たちと共有だ」


そう言うとリーンに夜着を剥ぎ取り、彼女の裸体を蝋燭の灯りの下に晒した。

腹部の周りが気になるのか、リーンは身を捩って逃れようとする。


「灯りを……消してくださいませ。あなたに見られるのは……」


サクルはかまわずリーンの肢体に唇を這わせた。


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