淡い色に染まるとき。
放課後になり、私はランドセルに教科書などを詰め込んだ。



「バイバーイ、梓!」



友達の唯香ちゃんに手を振って、私は急いで家へと帰る。

朝はいい天気だったのに、急に雨が振ってきたからだ。

洗濯物はきっと干したままだから取り込まなければいけない。


ランドセルが濡れないようにタオルをかけているけれど、もう濡れてしまっているだろう。


傘か合羽を持ってきていれば、よかった。


家に着くまで、私は走り続けた。


家に着くと急いでベランダに出て洗濯物を取り込んだ。

ほとんど濡れてしまっていて、雨の匂いがする。


…洗濯、しちゃおうかな。


やり方はもう分かってる。ただやらせてもらえなかっただけ。


大丈夫、やれるんだから。



洗濯物を引きずって洗濯機の中に押し込める。

ボタンをポチポチ押して、洗濯が始まった。


終わるまで何をしようかと考えて冷蔵庫を見る。


彼が朝作っておいてくれたごはんあるんだよね。


中を見ると私の分だけが入っていた。

自分の分は作らなかったんだ。


よし、じゃあやろう。

私は家庭科で作ったエプロンを着て、キッチンに立った。


そして、近所のおばさんに教えてもらった、だし巻き卵、みそ汁、きゅうりの漬物、最後は彼の好きな枝豆を茹でた。


< 10 / 144 >

この作品をシェア

pagetop