淡い色に染まるとき。
「あーずーさー!ただいま」


元気よく帰ってきた彼。もしかして、解決したのかな?

彼に駆け寄ると思い切り抱きしめられた。


『今日はハンバーグだよ』


彼の好きなハンバーグ作ったよ。今日は上手く出来たんだよ。


「そうか!じゃ、食べよう。俺、腹減ったー」


解決したみたいだね。

私は彼を引っ張って、大きなハンバーグを見せた。

彼ははしゃぎながら、着替えてくるから待って!と急いで部屋へと戻る。


私はハンバーグを温めながら、今日届いた手紙をちらりと見た。


捨てようか、彼に見せるか、ずっと悩んでいた。


でも、さっきの彼の笑顔を見て決心したの。



手紙を細かく破いて捨てた。彼がもし見つけても内容が分からないように。



「梓っ、いい匂いするな」



着替えた彼が戻ってきた。私は何事もなかったかのように振る舞った。


彼は何も気づかず、ハンバーグを食べ始めた。


これでいい。これでいいんだよね?


手が震えて上手く箸を持てない。スプーンとフォークを使って食べた。



【引き取りたいと】



あの言葉が。



【私達に返して】



嫌な言葉が。



頭の中で響いた。



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