淡い色に染まるとき。
翌朝、彼の驚いた声で起きることに。


「梓がいないって思ったら俺の隣にいたのかぁ」


そうだ、彼のお布団に潜り込んでいたんだ。

欠伸をして、勝手にごめんねと謝るといいよと許してくれた。


今日はお休みだから、彼はゆっくりと朝ごはんの準備をした。

私はお布団を片づけて、顔を洗いに行こうとした。


その時、インターホンが鳴った。


「ん、梓出てくれるかー」


急いで玄関へ向かい、扉を開ける。


すると、男性と女性が笑顔で私の頭を撫でる。


思わず、その手を振り払ってしまった。嫌な感じしかしない。触らないで。


扉を思い切り閉めて、鍵をかけた。誰も入ってこないで。


その音に驚いたのか、彼がやってきた。私を見て、心配そうな顔をする。



「どうした…?」


紙に書こうとするけど、手が震えて書けない。書けたとしても、文字にしたくなかった。


それでも、一生懸命紙に書いた。



『ずっと一緒だよね?』



「当たり前だろう。何度も言っただろ。絶対離さないって」



扉を叩かれて、流石に彼も不審がっている。

何故、私が扉を強く閉めたのか、座り込んでいるのか。何故、今そんなことを聞いてくるのか。


この扉を開けてしまえば、答えが出てきてしまう。


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