淡い色に染まるとき。
第3章

♂彼女の心♀

「梓!雪だぞ!」


彼の嬉しそうな声で、急いでベランダに出ると雪が降っていた。

手を伸ばして降ってくる雪を掴む。冷たくて柔らかい。

彼と外へ出て、小さな雪だるまや雪うさぎを作った。学校に行く時間ギリギリまで私達は遊んだ。


雪を見ていると、病院で出会った雪ちゃんを思い出す。

あの時貰った砂時計は、部屋に飾ってある。


「雪ちゃんに早く会えるといいな」


すぐに良くなるって言ってたから、もうすぐきっと会えるよ。

砂時計に行ってきますと言って、私達は学校へ向かった。


学校に着くと、唯香ちゃんが雪を花ちゃんと桃子ちゃんにぶつけていた。

何をしているのと聞くと、雪合戦!と嬉しそうに唯香ちゃんが答えたけど、花ちゃんが般若のような顔で睨みつけている。


「何が雪合戦よ!あんた1人が投げてるだけじゃない!」


「じゃあ、相手してよ」


「嫌!手袋が汚れる!」


「素手でやればいいじゃーん」


花ちゃんが逃げる唯香ちゃんを追いかけた。桃子ちゃんは降っている雪を掴んで遊んでいた。


「今日ねぇ、休んでいた子が来るみたいだよぉ」


のんびりしながら話す桃花ちゃんと一緒に教室へ向かう。


教室に入ると、ひとつの席を囲み、皆が何やら質問責めをしている。

その輪の中に少しずつ入ってみる。



「初めまして。栗山雪です。よろしくお願いします」



優しく微笑む、あの雪ちゃんがいた。



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