淡い色に染まるとき。
きっと驚いてくれる、私が作っただなんて思わないかもしれない。

ビールを冷やしておくのも忘れていない。

帰ってくるのは何時かな。


時計を何度も見て、ベランダから駐車場を見て、フラフラしているともう20時になった。


私もそろそろごはんを食べなきゃいけないけど、一緒に食べたいからもう少し待ちたい。


お風呂は10分入って、また彼が帰ってくるのを待つ。


まだかなぁ、先に食べていないと怒られるかなぁ。


彼が作ったごはんをレンジで温めてゆっくり食べていたものの、やっぱり彼は帰ってこない。


飲み会になっちゃったのかな。


ソファーに座って色々と考えていると、眠くなってきてしまった。


目を擦って起きていなきゃと思うほど、瞼が重くなっていく。


ダメだよ、おかえりって言わなきゃ…。


重さに耐えきれなくなり、私は夢の中へと入ってしまった。




…何だか、温かい。



『梓』



誰かが呼んでる、誰だろう。



『梓、こっち』



お花畑の真ん中に立っている私。そして後ろから誰かが呼んでいる。



『ここだよ』



振り向くと、男性と女性が立っていた。


男性が私の頭を撫でて、女性は私の頬を撫でる。


暖かくて、ゆらゆらする。


いつまでもここにいたいくらい。



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