淡い色に染まるとき。
【恭】目線


「いいなぁ、古市。今日の授業、午後からかぁ」


「その間、プリント作りですから」


古山先生が時間割を見ながら、コーヒーを飲んでいる。

俺はココアを飲みながらパソコンでプリントを作っていた。


梓の好きなココア。飲んでいると幸せな気持ちになれる。


朝からそんなもん飲むなよと古山先生は言ったが、理由を話すと納得した。


「いいなぁ、娘」


「娘の前に嫁でしょ」


「今度、一緒に婚活するか」


「俺はいいです。今は梓がいるだけで幸せなんで」


「あーあ、親馬鹿。馬鹿親」


古山先生、俺は知ってますよ。

田崎先生といい感じになっていることを。


俺が休んでいる間、色々と進展しちゃっている。


今度、飯食いに行くことだって、もう教師達の間で話題になってる。



「あ、田崎先生」


「え、いやぁ、今のは嘘ですよ!…って、おい!いないだろ!」


「婚活はしないほうがよさそうですねぇ」


「…まぁ、そうだよな」


授業の準備をしながら、まるで女子のようにもじもじと田崎先生のことを話し出した。


いつもの古山先生じゃなくなっていて、笑ってしまう。

耳を引っ張られて、ちゃんと聞けよ!と怒られる。


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