淡い色に染まるとき。
「まったく、俺の話を最後まで……ん、電話だ」


「田崎先生からですか?」


「あぁ……もしもし、田崎先生?はい、今は教材室にいますが。え?あぁ、古市もいます。はい…え、あ!今すぐ行かせますんで!」


行かせる?

ココアを飲んで彼の電話が終わるのを待つと、いきなりネクタイを掴まれて廊下へ出された。


俺、何かやったか?いや、今日は特に何もしてない、プリント作ってただけだし。



「梓ちゃんとこ行ってやれ!学校で何かあったみたいだ」



「どういう、ことですか?」



「小学校から連絡があったそうだ。急いで行ってやれ」


もしかして、雪ちゃんと何かあったのか?それとも手紙で?

俺が余計なこと言ったせいで、梓に?



急いで駐車場へ行き、車に乗り込む。

小学校へと向かうと、携帯にメールが届いた。


移動中だから見れないな、後で見よう。

携帯を無視して、梓のことばかり考えていた。


一体何があったんだろう、学校に呼び出されることなんて一度もなかったのに。


学校に着いて、職員室へと向かう。


確か、ここだったよな?職員室の前でネクタイをしっかり結んで深呼吸をする。


扉に手をかけると、中から泣き喚く声が聞こえた。



「いきなり叩いてきたのは、そっちでしょ!」



女の子が大声で泣いている…というか、泣いているフリのような感じ。



「本当のこと言われたからって!あんたなんか大嫌い!」



もしかして、言われてるのって梓じゃ…ないよな?

ドキドキしながら扉をゆっくりと開けてみる。



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