淡い色に染まるとき。
担任に早退を伝え、梓の友達にランドセルを持ってきてもらった。


唯香ちゃんが、梓の背中を擦って慰めていた。花ちゃんは、あんたは悪くないんだからとハンカチを渡していた。桃子ちゃんは心配そうに梓の頬を撫でていた。


帰ろうとしていると、雪ちゃんが走ってやってきた。


「梓ちゃん!ごめんね、ごめんね…」


梓に抱きついて泣きながら謝る雪ちゃん。

きっと、聞いたんだろう。俺と雪ちゃんのことでこんなことが起きたのを。


「私、梓ちゃんにお手紙書いたの…バレちゃったせいで…」


『お手紙?』


「どうしても話したくて。それで、机の中に入れたの見られちゃってたみたいで」


さっきの女の子が入れているところを見て、そして梓が入れようとしているのを見て、チャンスとばかりに悪口を言ったりしたらしい。


元々、梓のことが嫌いでやったみたいだ。そこに雪ちゃんがやってきて、更に嫌いになったそうだ。



「ごめんなさい」


『じゃあ、今度一緒に遊んでくれる?唯香ちゃんと花ちゃんと桃子ちゃんも』


「うん!」



雪ちゃんは俺にも頭を下げて、にっこり笑った。

病院にいた時よりずっといい笑顔だな。元気になってよかった。

梓も雪ちゃんと話せたからか、笑顔になった。



4人に手を振って、家へと向かう。



『ごめんなさい。お仕事の邪魔して』


「いいよ。気にすんな」


こんな時まで俺の心配しなくていい。もっと自分を大切に思え。


家に着くまで、梓はずっと寂しそうな顔をしていた。



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