淡い色に染まるとき。
そして、引きずられるように連れていかれた同窓会当日。


彼の母校の校門の前で彰さんと3人で学校を眺めた。



「この前、来たから懐かしいと思えないな」


「そうだな。まぁ、皆とは久々に会うんだ」



彰さんがマフラーをしっかりと首に巻いた。そして、髪を整えて私に顔を近づけてきた。



「どう?決まってる?」


『カッコイイよ』



笑いながら伝えると、照れながら彼にも近づいて聞いていた。

大丈夫だよ。カッコイイよ。


彼は私の手を掴んで、歩き出した。彰さんは慌てて追いかけてくる。



『彰さん、大丈夫だよ』


「いやぁ。何か不安でさぁ」


『好きだった人でもいるの?』



そこまで格好を気にするってことは、好きな人がいるの?


そう伝えると、彰さんは笑い出した。



「俺の好きだった子ってさ、梓ちゃんのお母さんだからなぁ」


「え!お前、一言も言わなかったろ!?」


「言えるかよ。番犬、博也がいたんだから…」



お母さん、そんなにモテていたんだ。お父さんは相変わらずなんだね。


彰さんが顔を真っ赤にするのをからかう彼。


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