淡い色に染まるとき。
「もういいだろっ。ほら、梓ちゃん行こう!」


彰さんに手を引っ張られ、少し小走りになりながらついていく。

彼は笑いながら彰さんの背中を軽く叩いた。


3人で学校の中に入り、彼らが過ごした教室へ向かう。



「おっ。皆集まってんな」



彼が扉を開けると、大人達が懐かしそうに机や椅子を触ったりしていた。

入ってみると、全員が振り向いて笑顔で迎えてくれた。



「古市、室井!久しぶり!」


「古市君、元気だったー?室井君は元気そうー」



この2人は人気者だったんだろうか。



「相変わらずだな、お前ら」


彼が苦笑いをしながら、全員に話しかける。


1人ずつ、元気だったか、今何をやっているかちゃんと聞いていた。


こういうとこ、大好きだなぁ。



「あれ?この子は?」



1人の女性が私を見て不思議そうな顔をしながら彼に聞く。



「博也と愛華と俺の娘!」



にっこり笑って、私の頭を撫でる。


そうだよ。私の大切なもうひとりのお父さん。



< 123 / 144 >

この作品をシェア

pagetop