淡い色に染まるとき。
全員に私達のことを話すと、皆が私のところへ来てお父さん達に似ていると言ってくれた。


こんなに優しい人達に囲まれていたんだ。両親と彼は。


「梓。この席をお母さんが使ってた。その両隣がお父さんと俺」


彼が後ろの席を指さして教えてくれた。

お母さんの席に座ると、お父さんの席に彰さん、彼は元自分の席へと座った。


皆も自分の席に座って、昔の話を始めた。


彼は私の頭を撫でて、微笑んでいた。



「昔に戻ったみたいだ」



彰さんを見てみると、机の落書きを見て笑っていた。



「博也はよく机に落書きしてたよな。恭は油性ペンで書いてたし」


「よく憶えてたな。お前だって、恋のお呪いってやつを書いてただろ」


「おいっ、そんなこと憶えてんなよ」



私を挟んで小声で喧嘩を始めた。

どうしてこんなところでも、喧嘩を始めるんだろうか。


仕方ない、本当はこういうことしたくなかったんだけど。2人がいつまでも喧嘩をするのなら、私は鬼になるよ。



『やめてくれなきゃ、これ全部バラまいちゃうよ』



彼と彰さんの女装姿(メイドさん)の写真を2人に見せる。

彼と彰さんが高校生の時の文化祭で着たらしい。とてもよく似合っている。



「何でそんなもん…!」



「忘れたかった記憶が…!」



圭さんに貸してもらったの。

前に2人が喧嘩ばっかりするのと相談すると、これを見せればいいと言われたから。


効き目バッチリだね!


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