淡い色に染まるとき。
写真をリュックに入れてにっこり笑うと、2人はもう喧嘩をしなくなった。

そんな2人を見ていると、初老の男性が入ってきた。


その人が笑顔で入ってくると、皆が一斉に立ち上がって近づいていく。


「俺らの担任だった人だよ」


その男性が私に気付くと驚いた顔をした。子供が何でこんなところにいるのか不思議なんだろう。


「…驚いたなぁ。夢路にそっくりな女の子がいるとは」


夢路って…お母さんの旧姓。



「この子が愛華と博也の娘で、今は俺の娘なんです」


「そうか。僕はね、田端靖。この子達の担任だったんだ」



優しく微笑む田端先生と握手をした。

何だかすごく安心出来る、思わず強く握ってしまった。それでも笑顔で大きく頷いてくれた。


少しだけ話すと、田端先生は中心に立って、皆の顔をじっくりと見た。



「皆、久しぶりだなぁ」



最初は笑顔で話していたけど、私と彰さんの座っている席を見ると、少し寂しそうな顔をした。

きっとお父さん達のことを考えたんだ。


でも、2人ならいると思うよ。皆に会いに来ているはず。



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