淡い色に染まるとき。
田端先生が少し話してから校庭に移動した。

卒業式に埋めたタイムカプセルを掘り起こすらしい。

男性全員で大きなスコップを持って掘っていく間、私は女性達と一緒に遊んでいた。


時々、男性達を応援すると彼が振り返ってにっこり笑った。


それを見た女性達はカッコイイね!と頬を赤らめて言っていた。



そして数十分後。


タイムカプセルを取り出して、ひとりひとりに配っていく。


私にはお母さんとお父さんのを貰った。


『何か入ってる』


「開けてごらん」



お母さんのカプセルに何か入ってる。

恐る恐る開けてみると、指輪が2つと写真が入っていた。


指輪を彼に見せると、恥ずかしそうに笑った。



「それ…お父さんと俺がお母さんの誕生日にあげたやつだよ」



2人から指輪を貰っていたんだ。

でも、どうしてこのカプセルに?大切なものじゃないの?



「大切だから入れたんだよ。このカプセルを埋める時、大切なものを入れることになったんだ。1番大切なものを」



そうなんだ。この指輪、とっても大事なものだったんだね。

そうだ。指輪、どうしたらいいのかな?



「梓に持っててほしい」



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