淡い色に染まるとき。
彼が彰さんの手紙を奪い始めると、皆が面白がって彰さんを追いかけた。


彰さんがボロボロになり、慰めていると田端先生が「飯を食いに行こう」と言った。


私達は料亭に行って楽しい時間を過ごした。

彼と彰さんは田端先生とお酒を飲みながら何やら語っていた。少し酔っ払いながらも、私のことを忘れずにいてくれる。


私も女性達と話をしながら食べていた。ほとんど彼と彰さんの話題だったけど。


「古市、お前は結婚しないのか?」


「しませんよ」


「嫁さんいたほうがいいんじゃないのか?梓ちゃんも思春期に入ったら…」


「梓の母親は愛華だけです」


「…まぁ、そうだよなぁ」


彰さんが彼と先生の肩を掴んでにっこり笑った。


「将来、梓ちゃんが恭のお嫁さんになるから心配するこたぁない!」


その言葉に、先生は笑って、彼はなるほど!という顔をして私の頭を撫でた。


彼が結婚しないならなってもいいって前から思っていたけど…。



「そしたら梓はずーっと俺と!」



彼が言い放った言葉を聞いた女性達が苦笑いをしていた。

ドン引きしているんだと、気付かない3人。


私は嬉しいけどね?あまり人には言わないほうがいいみたいだよ。


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