淡い色に染まるとき。

♂この心、あなたのものです♀

「今日は1日ずーっと一緒だから」


風邪を引いてしまった私の為にお仕事を休んでくれた彼。

寝てれば大丈夫と何度も伝えたが、1人にしたくないと言って私のお世話をしてくれる。


「お粥とホットミルク用意したから。食べれるか?」


ゆっくり頷いて、お粥を受け取ろうとすると彼が食べさせてくれると言う。

お粥を食べさせてもらっていると、玄関のほうで大きな物音がした。


「誰だ?ちょっと待っててくれ」


彼が玄関へ向かうと、ガチャッと扉の開く音がして重い何かが落ちたような音がする。


「な、何でお前が鍵持ってんだよ!」


「誰かさんが入院中、泊まってた時に合鍵作った」


「勝手なことを…!」


圭さん…?


朦朧としながら彼を待っていると、圭さんが大荷物で部屋に入ってきた。



「あれ…梓、風邪引いたのか?」



頷くとバッグから白い箱を取り出して、中を見せてきた。

ロールケーキ?いっぱいフルーツが入ってて美味しそう。

お婆ちゃんが作ってくれたのかな、前に食べたのと少し似てる。



「それ食べ終わったら食うか?」



食べたい。

私は急いで熱いお粥を食べた。圭さんは笑いながらロールケーキを持って部屋を出た。

彼は溜息を吐いて、私の隣に戻ってきた。圭さんの荷物を隅っこに置いて心底嫌そうな顔をした。



< 131 / 144 >

この作品をシェア

pagetop