淡い色に染まるとき。
どうしたの、と聞いてみると圭さんが何日かここに泊まるらしい。そして、合鍵のことでも怒っているようだ。

そういえば、鍵をじっと見てどこかへ行ってしまったような…。


「梓だって風邪引いてんのに、あんなうるさいのがいたら…」


ぶつぶつと圭さんの悪口を呟いて、ホットミルクを飲む私の額をタオルで拭いてくれた。

ありがとうと伝えると、彼は微笑んで頭を撫でてくれる。


「梓ー、食べれるか?」


ニヤニヤしながらロールケーキを持ってきてくれた。


「食べさせてやるから、ほら口開けて」


「待て、それは俺がやる。俺の役目だ」


「兄貴はいつでも出来るだろ、やろうと思えばいつだって。俺は滅多に会えないんだからな」


フォークの奪い合いをする2人。

いいよ、自分で食べれるよ。そんなことで喧嘩なんてしないでよ。


2人を止めようとするけれど、頭がボーっとする。


体が熱くなってきた、視界もボヤける。



「梓?」



ごめんね、しばらく眠るね。

ゆっくり横になって、目を閉じた。


2人が何か言っていたけど、よく聞き取れない。


どんどん夢の中へと入っていってしまう。



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