淡い色に染まるとき。
翌朝、起きてみると左側に彼が、右側に圭さんが寝ていた。

彼からいい匂いがするから、朝ごはんを作ってもう一度寝たのかなぁ。

起き上がろうとすると、ぎゅっと手を強く握られた。


「…起きてるの?」


2人に話しかけるけど、返事がない。ただ、気になることがひとつだけ。


「ニヤニヤして…起きてるんでしょ」


慌てて唇を噛んだようだけど、彼はチラチラと薄目で見てくるし、圭さんは笑い出したし。

もう。起きているなら返事くらいしてよ。

意地悪しないでってば。



「…お爺ちゃんに電話しよーっと。もう声が出るから電話出来るんだからね」


「ま、待って!」


「悪かった、ごめん!」



勢いよく起き上がって謝ってきた。

でも、声が出たって報告したいから本当に電話したいと思ったの。


近くに置いてあるメモ帳を開いてお爺ちゃん家の番号を探す。

いつか電話する時の為にと書いておいたの。



「梓の第一声を聞きたかっただけでさ」


「俺のこと優しく起こしてくれるかなーとか…」



…じゃあ、夢の中でお父さん達に言うことにするよ。


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