淡い色に染まるとき。
圭さんも上を向いて外へ出て行ってしまった。

皆、泣いちゃってる。


彼の手を強く強く握りしめて寄り添うと、嬉しそうに笑ってお婆ちゃんに言った。


「今度、一緒にそっち行くからさ。冬休みくらいに梓と3、4日くらい」


しばらく話してから私に代わってくれた。


「お婆ちゃん。また電話してもいい?」


『いいよ。いつでもいいからね』


お爺ちゃんの泣き声も聞こえる。

また会いに行くからね、また電話するからね。


電話を切って、携帯を彼に返そうとすると、まだあるだろと言われてメモ帳を渡される。


「梓。まだ電話するところがあるだろう?」


メモ帳を開いて、今まで書いてきた文字を見ていく。


唯香ちゃん、桃子ちゃん、花ちゃん、雪ちゃんの電話番号…。


そうだね、まだ電話するところがあったんだよね。


にっこり笑ってまた携帯を借りて、4人のお家に電話をしてみる。


初めて皆と電話で話すんだよね。すごく緊張する。


まずは唯香ちゃんから。


『もしもしー』


「あ、あの、唯香ちゃん?」


『そうだけど、誰ー?』


「梓だよ」


『…え?』



唯香ちゃんもお爺ちゃん達と同じような反応をして、よかったね!と喜んでくれた。

桃子ちゃんも、花ちゃんも、雪ちゃんも驚き、喜んでくれた。


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