淡い色に染まるとき。
「あいつら、俺の学校の生徒なんだが…ちょっとな」


『会いに来たのかな』


「まぁ、そういうもんなんだろうけど」


溜息を吐いてコーヒーを飲み、ベランダに出る。

私もついていくとまた別の数人の女子高生がいた。

何がしたいんだろう、遠くから見てるだけって何なんだろう。


疲れた顔をしている彼の肩を揉んであげると、ありがとうと言ってまた溜息を吐いた。


部屋に戻って私は学校の宿題を、彼はごはんの支度を。


ランドセルを開けて、ノートを取り出すと手紙が出てきた。


何だろう、これ。


恐る恐る開けてみた。


『好きです』


…どうしたらいいんだろうか。


とりあえず、彼に相談しよう。



「ん?どうした?」



『これ、ランドセルに入ってたんだけど』



「えーっと?『好きです。AOI』…え?」



『どうしたらいいのかな』



「…ちょっとこれ俺に預からせてくれ」



手が震えていて、手紙が破れそうだ。

顔色も何だか悪いし、一体どうしたんだろう。



「…梓、梓の好きな人って誰?」



私の好きな人?



『恭お兄ちゃん』



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