淡い色に染まるとき。
「帰ってくれ」


「嫌よ。それにこの子、あなたの子じゃないでしょ?」


「俺の子だ」


「愛華によく似てるわ。目は博也かしら」


お父さんとお母さんのことだ。

この人も知っている…?


彼は早く女性を帰そうとするが、帰ろうとせず、彼に詰め寄る。


「嘘言ってまで私の事嫌いなの?」


「いや、そうじゃない…頼む、今日は帰ってくれ」


私を後ろに隠すようにして、女性を外に出そうとする。

最後まで睨んできて、本当に怖かった。

女性が追い出されたあと、私は急いで部屋へと戻った。


布団の中に潜り込んで、深呼吸をした。


「梓?梓…?」


何だか今日は嫌な日だ。

嫌な気持ちになる、心臓が痛い。

枕を抱きしめていると、布団を捲りあげられた。


「梓、ごめんな」


違うの、違うんだよ。

お願いだから謝らないで。

ずっと『俺の子だ』って言ってくれて嬉しかったよ。

涙がどんどん溢れてきて、枕を濡らす。

言葉にしたい、声に出したい、でも出ないの。


「梓…」


私が眠るまでずっと抱きしめてくれた。

でも、あの人の目が忘れられなくて時々起きて怯えていると、大丈夫と呟いて頭を撫でてくれた。



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