淡い色に染まるとき。
翌朝、ちょっと早く起きてしまい、隣で寝ている彼を起こさないようにリビングに向かった。


彼の朝ごはんの用意をして、リュックにお財布を入れて、ゆっくりと外へ出た。

行ってきます、すぐに帰ってくるからね。

外に出て、急いであの場所へ向かう。


ここからだと1時間かかるけど、行ってみよう。

両親と住んでいた家へ。


あの場所は未だに空家で、鍵が少し壊れているから簡単に入れてしまう。

行けば分かるはず、多分何か残っているはず。


前の家に着くと、草が生えたりしてちょっと汚かったけど、無理矢理進んで扉を開けた。


中はそこまで汚れてはいないけれど、埃が飛んでいた。


両親の部屋へ進んで置きっぱなしの本棚の奥を覗いた。

いつも2人はここに日記やアルバムを隠していた。

手を伸ばして何かないかと探してみると、小さなアルバムを見つけた。


中を見てみると、制服を着た両親と彼が写っている写真。

カラオケをしている3人、遊園地、水族館で遊ぶ3人、学校で撮られた写真。


最後の1枚を見て驚いた。


あの女性らしき人がお父さんと彼の腕を掴んで笑っている写真。

2人は苦笑いをしている。女性はすごく嬉しそう…。


嫌な気持ちがまた溢れてくる。


溜息を吐いて、その写真をリュックに入れて他にはないかと探してみる。


私の部屋も、キッチンもリビングも…。


懐かしくて、胸が痛くなる。あの頃には戻れないことは分かってるのに。



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