淡い色に染まるとき。
しばらくして、私と彼は手を繋いで家に帰ることに。


「起きて驚いたんだ。どこ探してもいなくてさ」


『ごめんなさい』


「どうして、あそこに?」


『ゆりさんって人、知りたかったの』


何だか私のこと、嫌そうな目で見ていた。

両親に似てるって言った時も、怖い顔をしていたから。

両親が嫌いだったのかもしれない、その娘である私のことも。


「由梨は…梓のお父さんのことが好きだったんだ。でも、お父さんはお母さんのことが好きで…」


お父さんのことが好きだった女性…由梨さん。

でも、お母さんのことが好きだったお父さん。

自然とバラバラになってしまった4人。


「今も俺達のこと、嫌いなんだろうな」


え?それは違うでしょう?

由梨さんは両親のことは嫌いだけど、彼のことは好きなはずだ。


「いや、何ていうか…まぁ、俺のこと嫌ってるのは確かなんだ」


何か言いかけたが、言わないほうがいいと判断したらしい。

私も何も聞かずに、写真をリュックに入れた。

他の3人だけが写っている写真を彼にあげた。


仲良く写っている3人の写真は、私じゃなくて彼が持っていたほうがいい。


「懐かしいな。これ、俺達が高校生の時のだな。まだ持っていたのか…」


微笑みながらその写真を見ていた。

小さい時からずっと一緒だったんだもんね。

大事そうに持つ彼を見て、私は嬉しくなった。



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