淡い色に染まるとき。
結局、唯香ちゃんは何も分からず、花ちゃんは無視しろって言うし、桃子ちゃんは相変わらずのんびりな言葉ばかり。


「後をつけられてるんじゃないの?」


花ちゃんがポツリと呟くと、唯香ちゃんの目が輝いた。

何となくだけど分かったよ。その目は…。

桃子ちゃんはニッコリ笑って一言。



「梓ちゃんを守ろうよ」



その瞬間、唯香ちゃんが机をバンッと強く叩いて喜んだ。

花ちゃんは思わぬ面倒事に落胆していた。

私はその異様な光景をただ見ている事しかできなかった。


そして、放課後になると全員がリコーダーやら小石を集めて私の家に向かう。


リコーダーや小石は襲われた時に使うらしい。


「こんなので倒せるわけないでしょ?」


花ちゃんが最もなことを言った。

確かに。大人だったら絶対に無理だと思うなぁ。

唯香ちゃんは4人なら何とかなる!と言って無理矢理、花ちゃんを引っ張っていった。


「梓ちゃん、いつも1人で帰っちゃうからねぇ」


桃子ちゃんが私の隣で不思議そうに言った。

寄り道せず、早く帰ってこいって彼に言われてるから、私はほとんど走りながら帰宅する。


「でも、今日は初めて一緒に帰れてすごく嬉しいの」


私もすごく嬉しいよ。

こんなに楽しく帰ってきたことってないから。


メモ帳の紙が無くなるほど話した。


家に着くと、誰もいない、ポストの中には何もなかった。



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