淡い色に染まるとき。
ドッジボールが始まったけれど、なかなかボールに集中出来ない。

何故、彼がここにいるのかが気になってしまい、当てられそうになる。


走り出そうとして転んでしまったが、運良くボールは外れて外野へ。

立ち上がって残っている人と一緒に逃げ回った。


ダメだ、こっちに集中しなきゃ怪我しちゃう。

膝についた砂を落として、今度こそボールを見る。


当たらないんだから、最後まで絶対当たらない。


必死に避けて、ボールを掴んだら外野にいる唯香ちゃんに渡した。

相手チームは、残り3人。私達は残り4人。


初めてだった、最後まで残るだなんて。

唯香ちゃんたちはすぐにぶつけられて、外野にいる。


「梓ーっ」


ボールを渡されて、ぶつけろ!と男子に言われた。

いつも人にパスしてばかりだったから当てるのも初めて。

当たるか分かんないけど、とりあえず!


思いっきり、ボールを投げた。


すると、2人にぶつかってボールは花ちゃんの元へ。


「梓、よくやった!あと1人は…」


いつもの花ちゃんではなくなっている。

鬼のような顔で最後の1人にボールをぶつけた。



「はいっ、白組の勝ちー!」


先生が白旗を上げて言った。


「梓、すごかったじゃん!」


「古市って、強いのな!」


「すごかったねっ」


クラスメイトが一斉に話しかけてきた。

誰に何を言えばいいのか分からず、ただただ頷くことしかできなかった。


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