淡い色に染まるとき。
お礼やら何やら言われていたが、私はただ投げただけだ。

偶々、当たっただけなのに、ここまでとは…。


授業が終わると、皆それぞれ親の元へ。


私も心の準備をしてから彼の元へと走った。


怒られる、そう思いながら見上げてみると笑顔で頭を撫でてくる彼。



「よく頑張ったなぁ。転んでもすぐ立ち上がって、避けては投げて!すごかったぞ」



ポカンと口を開けて見ていると、思い出したのか、わざとらしく咳をして私の頬を軽く抓る。



「どうして、授業参観のこと黙っていたんだ」


『ごめんなさい。忙しいって思ってて』


「そんなの心配すんなって言ったろ?」



ごめんなさい。でも、本当は来てほしいって思ってたんだよ。

だから、今すごく嬉しいの。ありがとう。

でも、どうして分かったの?



「ゴミ箱だよ。梓、プリントを捨てる時は丸めて捨てないから。折りたたんで捨ててるのに、その紙だけは丸まってたから不思議でさ」


見られちゃったんだ。

何だか恥ずかしくて俯いていると、また両頬を抓られた。



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