淡い色に染まるとき。
ごめんなさいと伝えると、もういいよと笑って許してくれた。

手を繋いで一緒に教室へ帰ると、女の子達に囲まれることになった。


「梓ちゃんのお父さん、かっこいい!」


「いいなぁ、若くてイケメンだなんてっ」


「羨ましいー」


イケメン、かっこいい、羨ましいという声が彼に聞こえたのか、照れているのか外を見たり、教室に飾ってあるものに触れたりしていた。


そんな彼が可愛くて、女の子達が褒める度に大きく頷いた。

優しくてかっこいい、照れ屋さんな彼に小さく手を振った。


先生が戻ってきて、帰りの会を始めた。

先生の話が終わると、皆が嬉しそうに親の元へ。

私もランドセルを背負って、彼に駆け寄る。


「じゃあ、帰るぞ」


ぎゅっと手を繋いで、駐車場へ。

彼の車へと向かっていると、いきなりランドセルを後ろから引っ張られた。

驚いて彼の腕を強く掴んで、後ろを見ると見知らぬ中学生の男子がランドセルを掴んでいた。


怖くて彼に助けを求めると、私を後ろに隠して対応してくれた。


「急にランドセルを引っ張ったらダメだろ?」


「ご、ごめんなさい。あの、手紙…」


「手紙?って、もしかしてあおい君…?」


「いえ…違います。僕は頼まれただけです」


じゃあ、あおいって人は一体、誰なの?

何故、私にこんな手紙を?


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