淡い色に染まるとき。
ここに答えが?

急いで中へ入って見回してみるけど、特にそういうものもない。

振り返って彼に聞いてみると、何故か2階に向かって私の部屋の壁紙を剥がし出した。


「昔、お父さんが悪戯してたんだ。いつか梓にも見せてやりたいからって」


少しだけ壁紙が剥がれると、中から紙が何枚も出てきた。


1枚だけ取って見てみると『AOISOINTHETYU』と書かれていた。裏には…。


AOI SO IN THE RYU。


…あおい?

あおい そお ざ りゅう?


彼が指でひとつひとつ隠していく。


「隠したとこを抜かして、読んでみるんだ」



あ、い、し、て、る?



「やっと思い出した。俺、この手紙を隠す時、手伝ってたんだよな」



お父さんはお母さんにロマンチックな告白をしたくて、彼と考えたそうだ。

昔、よく遊んだ暗号解読を使ってやろうと言い出したらしい。


お母さんへのラブレター。


それが何故、私に届いているのだろう。



「梓へのラブレターってこと。自分がいなくなっても寂しい思いをさせないようにって意味だと思う。俺が梓に夢中だって分かってたし、俺なら絶対梓といるだろうって思ってたのかもな」


しかし、ひとつ疑問がある。

中学生男子が手紙を郵便やら何やらで届けてくれていたようだけど、どうやってランドセルに入れたんだろう。


「…ちょっと待て」


鞄から最初に貰った手紙を開く。


「…この手紙、お父さんからのじゃないようだが…」


最初の手紙は子供っぽさが残っている字。

お父さんからの手紙はちょっと汚いけど、大人の字。


…誰なんだろう。


更なる課題が出来たと、こっそり溜息を吐いた。


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