淡い色に染まるとき。
こんな綺麗なとこにいつまでもいたいって気持ちはよく分かるよ。

景色は綺麗、ごはんは美味しい、地元の人は優しい。

時間を忘れるほど、私達は満足していた。


ごはんを食べ終わると、お土産を買いながら世界遺産になっているところ、観光スポットなどに向かった。


楽しい時間はあっという間。夕焼けを見ながら宿に向かっていると、彼がポツリと呟いた。


「本当に、帰りたくないよな」


ちらりと彼を見てみると、寂しそうに微笑んでいた。

どうしてそんな顔をするの?

帰りたくないって、冗談なんかじゃなかったってこと?


何も聞けずに歩いていると宿に着いた。


「さぁっ、夕飯は何だろうな!」


さっきの寂しそうなのは何だったのか、笑顔で私の手を引っ張る。

旅行に来てから、変な感じがする。

それでも、暗い気持ちに戻させたくないから私も笑顔でついていった。


『ゴーヤー出るかも』


ゴーヤーが苦手な彼にそう言うと、苦笑いをした。


「もずくも出ちゃうかもな」


もずく…私の苦手な食べ物。

嫌な顔をしていると、俺が食べてあげると言ってくれた。


彼と一緒に食堂に向かうと、美味しそうな匂いがしてきた。


本日のメニューは『ゴーヤーチャンプルー、足ティビチ、沖縄そば、ジーマーミ豆腐』


「美味そうだな」


『足ティビチって何?』


「豚の足が入ってる汁物ってこと。初めて食べるな」


豚の足。

聞いて想像してしまうと、食べるのを躊躇してしまう。


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