淡い色に染まるとき。
しばらくすると、船はどんどん進んでいく。

ガラスになっているところに行くと、綺麗なお魚が泳いでいる。


「クマノミ、ツノダシだな」


可愛い、カメラで撮ろうとしてもすぐに泳いでいってしまう。


お魚を撮るのは諦めて、彼の笑顔を撮ってみた。それに気が付くと、彼も私と撮ってきた。

周りの人は変な人だと思うだろう、お互い撮りあう人なんていないだろうから。

それに頬のハートもそうだ、顔をじっくり見れば気が付くと思うが、周りの人は私達より海やお魚を見ている。当たり前な話だけど。


20分の船の旅だったけど、とても面白かった。

海は透明だったからよくお魚を見ることが出来た。また来たいねと彼と呟いた。


船から降りると、ビーチで遊ぶことにした。

真っ白な砂浜で走る私。追いかけてくる彼。


途中で転んでしまうと、彼は大慌てて駆け寄ってきた。


「大丈夫か?」


大丈夫だよ、痛くないよ。

真っ白な砂を掴んでよく見てみると本当に綺麗。そういえば、小瓶を持ってきてたんだ。

リュックから小瓶を取り出して砂を入れてみる。これに小さなビーズや貝殻を入れたらきっともっと可愛いんだろうな。


「梓はこういうの好きだよな」


『お互い、そうでしょう?』


「まぁ、俺もそうだな」



彼にも小瓶を渡すと、同じように砂を入れて笑った。

私はまたここに来れますようにと祈りながら蓋をした。


いつか彼と離れる時が来ても、ここでまた会いたい。そのいつかが来ないようにも祈る。


今はまだ子供で、この先どうなるかなんて分からない。中学、高校、大学…その先も隣に彼がいることをただただ願っているの。

彼が結婚するまで、私はずっと隣にいたい。その時までは。



「また来ような」



その言葉を信じて、小瓶を大切にリュックに入れた。


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